カーテンウォールとは?ガラスファサードとの違いをやさしく解説

Column — Large Glass · Know

Guide — 用語をやさしく整理

監修・著者:株式会社トータルファサード

先に結論をお伝えすると——ファサードは建物の「顔(外観)」を指す言葉、カーテンウォールはその外壁を「重さを支えずに作る」工法。比べる軸がそもそも違うんです。この記事では、2語の意味・違い・関係、そしてなぜ混同されるのかを、やさしく整理します。

まず結論:ファサードは「顔」、カーテンウォールは「作り方」

時間のない方のために、30秒で分かる要点から。

  • ファサード=建物の「顔」、つまりどこを・どう見せるか(外観・デザインの話)
  • カーテンウォール=その外壁をどう作るか(構造・仕組みの話)

つまり、ファサードは「WHAT/WHERE(どこの・どんな見た目か)」、カーテンウォールは「HOW(どう作るか)」を指す言葉。着目している”層”がそもそも違います

だから「ファサードか、カーテンウォールか」という二択は、実は成り立ちません。むしろ多くの場合、ガラスでできた”顔”(ガラスファサード)を、カーテンウォールという”作り方”で実現している——この関係が分かると、一気に整理がつきます。

FACADE = 建物の顔 どう見えるか(意匠・デザイン) CURTAIN WALL = 作り方 どう作るか(構造・仕組み) 骨組みに掛けるだけ(非耐力壁) ガラスの”顔”を この”作り方”で 実現する

図|ガラスファサード(見た目)を、カーテンウォール(作り方)で実現する関係

ファサードとは|建物の「顔」になる外観の概念

ファサード(facade)は、建物の正面・外観を指す建築用語です。建物が街に見せる”表情”のことを表し、語源はフランス語「façade」、さらに遡るとイタリア語「facciata」を経てラテン語「facies(顔・外観)」に由来します(出典:Online Etymology Dictionary)

ここで大事なのは、ファサードは素材を限定しない概念だということ。石でできた外観も、タイルや木、ガラスの外観も、すべてファサードです。その中で、ガラスでできた顔=「ガラスファサード」と呼ばれます。

ファサードは、言い換えれば意匠(デザイン)の話。どう見えるか、街にどんな表情を見せるか——そこに着目した言葉です。建物の「中身(構造)」ではなく、「見え方」を語っているとイメージしてください。

※店舗の外観をガラスの”顔”にしたい方は、別記事「店舗をガラス張りにする費用と注意点」もあわせてご覧ください。

カーテンウォールとは|建物の重さを「支えない」外壁の工法

一方のカーテンウォールは、建物の重さ(荷重)を負担しない外壁のことです。専門的には非耐力壁と呼ばれます。

少しかみ砕きましょう。建物の重さは、柱や梁といった構造体(骨組み)が支えています。カーテンウォールは、その骨組みにカーテンのように”吊り下げる/取り付ける”だけで、自分自身は建物の重さを受け持ちません。この「カーテンのように構造から下げられた壁」という成り立ちが、そのまま curtain wall という名前の由来になっています。

(カーテンウォール=非耐力壁の定義は、日本サッシ協会(JSMA)の用語解説に基づきます)

なぜこの作りが生まれたのか

壁が建物の重さを支えなくてよい——これには大きな意味があります。

壁が荷重から解放されると、壁を軽く・薄く・大きく開けることができます。だからこそ、ガラスで大きく開いた外観が成立する。高くそびえる超高層ビルが、あれほど広いガラス面をまとえるのも、この仕組みがあるからです。

カーテンウォールの作り方には、大きく次のような分け方があります。

  • ユニット工法:工場であらかじめ枠とガラスを1ユニットに組み立て、現場でクレーンを使って吊り上げて取り付ける方式。超高層の主流です。
  • ノックダウン工法:部材を現場に運び込み、その場で組み立てていく方式。

(工法区分は、日本サッシ協会/YKK AP の公開資料に基づきます)

超高層では1ユニットがかなりの重量になることもありますが、運ぶ・吊る・収めるといった施工の具体は、別記事「超高層ビルの大開口ガラスはどう施工するのか|現場の実際」で詳しく解説します。この記事ではまず、言葉の整理に集中します。

図解:ファサードとカーテンウォールの関係

ここがこの記事の山場です。2語の関係を、3つのポイントで整理します。

①層が違う
ファサードは「見た目・概念」、カーテンウォールは「構造の仕組み・工法」。語っている階層がそもそも別です。

②重なる
ガラスのファサードは、多くの場合カーテンウォール工法で作られます。つまり”顔(ファサード)”を、”作り方(カーテンウォール)”で実現しているわけです。ここが両者の出会う場所であり、混同の生まれる場所でもあります。

③重ならない場合もある
ファサードが必ずカーテンウォールとは限りません。たとえば石やタイルで重さも支える壁(耐力壁)の外観も、立派なファサードです。逆に、カーテンウォールが必ずガラスとは限らず、金属パネルなどで作られることもあります。

ファサード カーテンウォール
何を指す言葉か 建物の「顔(外観)」の概念 重さを支えない外壁の「工法」
着目点 どう見えるか(意匠・デザイン) どう作るか(構造・仕組み)
素材 石・木・ガラス・タイル等なんでも ガラス・金属パネル等
関係 カーテンウォールで実現されることが多い ガラスファサードを成立させる代表的な作り方

なぜこの2語は混同されやすいのか

「同じ意味だと思っていた」——それは決して間違った感覚ではありません。混同が起きるのには、ちゃんと理由があります。

  • 同じ場面で同時に出てくる:どちらも「ガラス張りの大きな外壁」を語るときに登場するため、並んで使われやすい。
  • 使い方に幅がある:メーカーや記事によって製品名・通称の使い方が少しずつ違い、線引きが曖昧に見える。
  • 短絡が起きやすい:「ガラスファサード=カーテンウォール」と一足飛びに結びつけられがち。でも実際は、前者は”見え方”、後者は”作り方”です。

整理のコツを一文で言うなら——「ガラスでできた顔(ファサード)」を、「重さを支えない作り方(カーテンウォール)」で実現する。こう覚えると、2語がきれいに住み分けられます。

ガラスファサードを「作る」とはどういうことか

ガラスファサードを「作る」とは、大きく重いガラスを運び・吊り上げ・高い場所でミリ単位の精度で収めるという、現場作業の積み重ねです。渋谷スクランブルスクエア(高さ約230m)のような超高層ビルのガラスファサードも、その一例です。

ただ、ここから先は「言葉」ではなく「現場」の話。実際にどう建てるのか=施工の実際は、別記事「超高層ビルの大開口ガラスはどう施工するのか|現場の実際」で詳しく解説しています。気になった方は、ぜひそちらへ進んでみてください。

よくある質問(FAQ)

ガラスファサードとカーテンウォールは同じ意味ですか?

厳密には違います。ファサードは建物の「顔(外観)」を指す概念、カーテンウォールはその外壁を「重さを支えずに作る」工法です。ガラスファサードがカーテンウォール工法で作られることが多いため、混同されやすいだけです。

カーテンウォールはなぜ「カーテン」と呼ぶのですか?

建物の骨組み(柱・梁)が重さを支え、外壁はカーテンのように”吊り下げられている/取り付けられている”だけだからです。壁が荷重を負担しない非耐力壁である点が特徴です。

ファサードはガラスでなくてもよいのですか?

はい。ファサードは外観そのものを指す言葉なので、石・タイル・木・金属など素材を問いません。その中でガラスでできたものを「ガラスファサード」と呼びます。

大きなガラスファサードは普通の工務店でも作れますか?

大型・高所のガラスファサードは、重量・搬入・固定の難度が高く、専門の施工技術が必要になる場面が多くあります。詳しくは施工の実際を解説した記事をご覧ください。

まとめ

  • ファサード=建物の「顔(外観)」を指す概念。どう見えるか(意匠)の話で、素材は問わない。
  • カーテンウォール=重さを支えない外壁の工法。どう作るか(構造)の話。
  • 2語は比べる軸が違う。だから二択ではなく、ガラスの顔(ファサード)をカーテンウォール工法で実現するという関係でつながっている。
  • 言葉が分かったら、次は「実際どう作るのか」。施工の世界は別記事へどうぞ。

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